光超音波3Dイメージング技術の基礎

3Dイメージング技術

弊社独自の半球型超音波センサを用いることによって正確な三次元画像を得ることができます。

他の診断装置において二次元の断層像を機械的に走査して擬似的に三次元画像を形成するものもありますが、拡大すると機械走査の方向で粗さが目立ってきます。

弊社の技術では画像ビューワで拡大してもクオリティが劣化しにくいのが特長です。

光超音波の位置づけ

光超音波3Dイメージング技術では光と超音波をハイブリッドで使用します。

光のみを用いる技術の代表として挙げられるOCT(光干渉断層撮影)や2光子励起顕微鏡などは、高解像度が得られますががイメージング深度がサブミリメートル未満の表面に限定されます。

超音波のみを用いる超音波診断装置は高深度が得られますが解像度には限界があります。

光超音波イメージングはその中間に位置します。

光超音波の発生原理

光超音波(光音響波)の発生と画像化の原理は次の通りです。

・被検体(ここでは赤血球)が光エネルギーを吸収

・熱エネルギーに変換

・熱膨張し復元する弾性変形が瞬間的に発生

・超音波の周波数に相当する弾性波(縦波)が発生

・生体内を超音波が伝搬

・生体外のセンサで超音波を受信

・逆問題解析して画像を再構成

イメージング対象

光超音波では血管やリンパ管を画像化します。既存の診断装置よりも細い血管を描出することが可能です。

血管については血中の赤血球を構成するヘモグロビンによって光が吸収され、光超音波を生じます。

リンパ管については、リンパ液は白濁した光吸収性のない液体なので、末梢から色素をリンパ管に取り込ませてイメージングを行います。
代表的な色素として、医療用に用いられるインドシアニングリーン(ICG)を用いることができます。

他モダリティとの比較

光超音波イメージングでは造影剤を使用せずに、既存の造影剤を用いたMRI、CTよりも微細な血管のイメージングを表現します。皮膚への損傷などの影響を与えない強さの波長可変レーザを使用し計測するので無侵襲です。光を照射して超音波を検出する手法なので、被ばくすることなく、何度も繰り返し測定することも可能です。
さらに、MRIやCT等にある放射線や磁気を遮蔽するための施設や制限区域を必要としないので、設備導入のハードルが低くなります。
また被検体を乗せるだけで測定できるため、簡便に撮影することが可能であって、マウスなどの小型動物からヒトを含む大型動物まで、対象物のサイズによらず撮像することが可能です。

弊社光超音波3Dイメージングシステムの特長

3つの特長

弊社の光超音波3Dイメージングシステムには3つの特長があります。

光と超音波を利用する原理なので、非造影・無被ばくで血管の画像化ができます。ただし、リンパ管をイメージングする際にはICGの投与が必要です。

センサを走査することによって任意サイズの画像を得ることができます。また範囲を限定することによって動画像を得ることもできます。

弊社独自の半球型センサを用いることによって再現性の高い三次元画像をを高い空間分解能で取得することができます。

半球型センサの採用

上図の赤丸は音源、すなわち光吸収体に光エネルギーが吸収された球体を表します。

音源がひとつの点の場合、そこから発せられる音波は360度等方的に伝搬します。

多数の音源が血管中の赤血球のように線状の点列として存在する場合、波同士の干渉が起こり点列の直交方向に伝搬します。

左図は弊社光超音波3Dイメージング技術のキーデバイスである半球型センサの写真です。多数の小さい丸が超音波を受信する超音波センサです。

中央にある2つの黒丸は光照射部と音響マッチング水の給排水部です。

上図の赤い棒は結果を模擬しています。その下に描かれている円群は半球型超音波センサの位置を表します。

棒状の血管から発生する音波は血管と直交方向に伝搬します。その音波が到達する位置を表しています。

血管が水平に走行する場合、半球型センサの中心を通るように音響波が伝搬します。血管が30度傾くとその分ずれます。60度傾くと半球型センサの端の方で受信されます。完全に鉛直方向に立った血管の場合は音波がセンサに到達しないため血管情報を得ることができませんが、ほとんどの血管走行を受信可能なセンサ配列となっています。

広く用いられる超音波診断装置のプローブ(センサ)は同一平面状で一列に並べられてタイプ(リニアタイプ)が用いられています。これとレーザを組み合わせて光超音波システムを構築することも可能です。

しかし一般にセンサ一つ一つには有効域があり、受信可能範囲はセンサ正面を中心に±20度程度となります。上図のようにリング状の光吸収体を仮定し、そこから発する音波を受信して画像再構成したシミュレーション結果を撮像画像として示しています。

リニアタイプの受信センサを用いると元の形状を全く再現できないのに対し、半球型センサを用いることによって立体構造を良好に再現することができています。

またリニアタイプの受信センサを、センサ列と直交する方向に機械走査して擬似的に三次元画像を得ることもできますが、機械走査方向の空間分解能が劣化するという課題があります。それに対し、半球型センサでは最初から等方的な三次元画像を再構成することができています。これらが弊社装置で三次元的に脈管構造を画像化できるポイントです。

半球型センサの採用

半球型センサを用いた装置では良好な三次元像を取得することができますが、1回あたりΦ22mm程度の範囲しか画像取得することができません。そこでセンサそのものを走査することにより、広い範囲の画像を取得する構成を採用しました。被験部(手)とセンサとはフィルムで隔離されているため、センサに直接触れることはなく安全に検査できます。


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